院長の独り言

  • 院長の独り言
    44.体幹シリーズ⑥ 人体における免震の仕組み

    お久しぶりの体幹シリーズです。

    長らくお待たせしてしまい、すいませんでした!

     

    またまたちょっと分かり辛い文章が展開されますが、しばしお付き合い下さい。苦笑

    最後にいくつか言葉の補足もしましたので、ご参照頂きながらお読み頂ければと思います。

     

     

    地震対策の免震構造は、大雑把に言うと地球と建物を絶縁して揺れを伝えないというものでした。

    人体においては手足の付け根部分が絶縁部分となり、体幹を安定させています。

     

     

    絶縁部分を解剖学的に明確に言い表したいと思います。

    ただこれについては明確には分からないのが正直なところです。

    私の不勉強と言えるのかもしれませんが…苦笑

     

     

    体幹との絶縁部分(免震構造)は

    ①腕の付け根は広義の肩関節

    ②足の付け根は骨盤・股関節周辺部

    といった曖昧な解答しか持ち合わせません。

    (肩関節、骨盤・股関節については近日中にもう少し紐解きます)

     

     

    実際人体の構造、各部の機能は相互に関係が深いため簡単に割り切れるものではない気がします。

    (図の赤丸部分が腕・脚との絶縁部分で免震構造と考えられるところ)

    絶縁部分

     

     

    私が股関節の動きを改善しようと試みる場合、まず股関節をまたぐ筋肉にアプローチします。

    殿筋群など直接股関節に作用する筋群のことです。

    ただそれだけでは不十分です。

     

     

    膝関節に関わるような脚の筋肉の他、お腹や・腰・背中も股関節の動きに大きく関わります。

    したがって股関節のためには脚まわりだけでなく、腰背部や胸腹部、さらには腕につながるところまでもチェック、アプローチしているのです。

     

     

    有名な下半身のトレーニングにスクワットがあります。

    実際スクワットを上手く行うには背中から肩の柔軟性と強靭さも重要だということは、よく知られたことです。

     

     

    ただ股関節周りの筋肉に背中から足までつながっているような筋肉は、深いところ(いわゆるコア)にも浅いところにも存在しません。

    ではどんな仕組みで動作が行われるのでしょうか?

    脊柱起立筋 僧帽筋 殿筋から腸脛靭帯

     

     

    図の赤く示した筋肉は脊柱起立筋(セキチュウキリツキン)と言い、人体の中でも長い筋肉です。

    (青い筋肉は肩まわりの大きな筋肉である僧帽筋(ソウボウキン)、黄色い筋肉は骨盤・股関節周りの大殿筋(ダイデンキン)~大腿筋膜張筋(ダイタイキンマクチョウキン)です)

     

     

    この脊柱起立筋、実は腸肋筋(チョウロクキン)、最長筋(サイチョウキン)、棘筋(キョクキン)など複数の筋肉の総称です。

    脊柱起立筋という筋肉のグループが協力して活動することで、背中を反るという動作はなされています。

    (実際には脊柱起立筋のみで背中を反っているのではないのですが、ここでは省略します)

     

     

    脊柱起立筋に代表されるように、動作というものは複数の、多くの筋肉が協力(連動・協調)してなされるものなんです。

    どんな動作も1つの筋肉が1つの指示の下動いて完結するような単純なものではないのです。

     

     

    すなわち股関節の動きを良くするためには身体全体で(特に腹筋群、背筋群から足の筋肉まで)上手く協調・連動出来る状態にならなくてはなりません。

     

     

    どんな動作も筋肉だけの問題ではなく、さまざまな関節の状態も影響します。

    特定の筋肉、関節だけの問題で話が簡単に済むことは少ないということです。

    (人体の協調・連動運動については大きな大きなテーマですので、また改めてご紹介しなければいけませんね)

     

     

    股関節・肩関節は、構造的に自由度の大きな関節です。

    また体幹と腕あるいは脚をつなぐ部分でもあり、ポジションとしても建築物の絶縁部分となります。

    したがって骨盤股関節周辺部・肩関節の協調・連動の能力が、人体における免震装置の能力と言えるのではないかと思います。

     

     

    言葉の補足

    免震

    震え(揺れ)を免(マヌガレ)れること。

    手足を動かすことで体幹部分に揺れ(動き)が伝わりますが、その揺れを免れて体幹部分が動かないようにすることとなります。

     

    絶縁

    電気においては電流の流れを断つこと。人間関係では交友関係などその人との付き合いを断つこと。

    手足を動かすことで体幹にも動き(揺れや)は伝わりますが、その動きを断つことと考えて下さい。

  • 院長の独り言
    43.新年のご挨拶

    新年、あけましておめでとうございます。

     

    昨年も沢山の方々にお世話になり、きくち接骨院はまた一年歩んでくることが出来ました。

    本当にありがとうございました。

     

    一人一人の患者様、選手達と接することで、我々は多くの経験をしています。

    一つ一つの症例を医学、スポーツ科学的知見と照らし合わせていくことで、日々成長のチャンスを頂いています。

     

    今年もそうした一つ一つのチャンスを活かし、より良い医療、運動指導を行うことで皆様に還元できるよう努力して参ります。

     

    本年も皆様の健康、パフォーマンス向上のために全力を尽くさせて頂きます。

    よろしくお願いいたします。

     

    写真は本文と関係ありません。

    伊藤先生が盛岡に帰省してお土産に買ってきてくれたじゃじゃ麺です。

    表と裏にほぼ同じデザインで縦と横に印刷されている変わった箱でした。笑

     

    IMG_1743[1]

  • 院長の独り言
    42.体幹シリーズ⑤ 免震と体幹

    地震対策には柱などを強化する耐震、揺れを吸収する制震、建物と地面を絶縁して揺らさない免震、の3つがあります。

    今回は3つ目の免震についてお話しします。

    免震

     

    免震の代表的な構造は、図の左のようになっています。

    免震装置には大別して二つあり、一つ目は図右の上のアイソレーターと言われる装置です。

    アイソレーターは、周期の短いはげしい揺れを、長い周期のゆったりした揺れに変える役割を持っています。

     

     

    もう1種類の免震装置は図右の下にあるショックアブゾーバーです。

    このショックアブゾーバーは大きさなどの違いはありますが、前回の制震にも用いられていました。

     

    免震でのショックアブゾーバーの役割は、ゆっくりした揺れに変わった建築物を早く止めることです。

    つまりエネルギー吸収装置としての役割を持っています。

    免震で用いられるショックアブゾーバーは制震に用いられるものより大型で、絶縁部分に用いられるようです。

     

     

    人が歩く時、重心が動くので足が出ます。

    足が出れば自然と腕も動きます。

    足のみ振ろうとしてもバランスを崩してしまうため、必ず反動で身体のどこかが動きます。

     

    これが人間におけるアイソレーターといえるかもしれません。

    重心が大きく動くと身体がそのまま倒れてしまうため、重心と逆方向に身体を動かして重心を制動し、バランスを保ちます。

    ウォーキングやランニング時の腕振りがイメージしやすいかと思います。

     

     

    足の動きに対して腕の振りが入るために、体幹部分が安定するのです。

    体幹が建物部分だとすると、手足の付け根が絶縁部分と言えるのかもしれません。

    (歩行について詳しくは以下をご参照下さい。https://ktc-web.net/features-about-walk

     

     

    これから冬はマラソンや駅伝シーズンになりますね。

    ラストの競り合いでは身体に無理をしてでもスピードを上げなくてはなりません。

    前半は身体(体幹)が丸太棒のようにブレなかったものが、無理をするとブレてきます。

     

     

    これは足に対する腕の振りでブレ(振動)を打ち消していたものの追い付かなくなり、身体(体幹)自体も動かざるを得なくなったということです。

    (下の写真もラストスパートで頑張っているがゆえに腕振りに体幹がもっていかれていることが、お分かり頂けるかと思います)

    ブレラン

    これを建物に例えると、地面との絶縁部分である免震装置で揺れを打ち消していたものが、免震装置の性能が追い付かなくなって建物自体も揺れ出してしまったということです。

     

     

    水泳のクロールでも右手が水に入る際に左足のキックが入ります。

    これは手足を対角線にタイミング良く動かすことで身体全体がブレることを防いでいます。

    クロール

     

    バタフライでも手を入水する際にキックを打ちます。

    足が下にあるからこそ腰が浮き、頭部は前下方へグライドしていきます。

    これにより腕は水面に近い所に置きやすく、腕から体幹の筋肉がショックアブゾーバーとしてパワーを溜めて腕の搔きへと繋がっていくのです。

     

    fly重心移動

    これら体幹を中心に身体を反対に動かすようなものが人体の免震と言えるでしょうか。

    次回はこのメカニズムについてもう少し深く迫っていきたいと思います。

  • 院長の独り言
    41.北上ドライランド講習会 (体幹シリーズ番外編)

    先日岩手県北上市で開催させて頂いた水泳のための陸上トレーニング“ドライランド”トレーニング講習会の様子をご紹介いたします。

    連載中の「体幹」シリーズを今回もお休みさせて頂きます。

    ただ講習会の中身に「体幹」トレーニングにつながるものが多々ありましたので、少々ご紹介させて頂きます。

    006

     

    2011年に岩手で競泳のインターハイが開催されました。

    順調に選手強化が進んでいたと思っていたのですが春先に震災もあり、結果を残すことは出来ませんでした。

     

     

    来年は岩手での国体開催です。

    今回も他県のような選手強化(補強)は行えず、指導者の方達の熱意の下マンパワーで強化が進められています。

    写真からもお分かり頂けるでしょうが、もちろん選手も相当頑張ってくれています。

     

     

    私は岩手県のトレーナーでもありますので、何とか強化を形(結果)にしたいと微力ながら協力させて頂いています。話

    さて、実際の講習会の様子です。

    まずは体幹部分から腕や脚に繋がる部分がしっかり自由度をもって動かせるような、動的ストレッチをみっちり行いました。

    003

    「体幹」の連載の中で今後お話しすることになりますが、これが人体における“免震装置”を効かせることになります。

     

    手足の付け根が自由に動ける状態にあれば手足が大きく動い(動かさせられ)ても、体幹がそれにつられてブレることが少なくなります。

    また手足の自然な代償運動が起きることも可能となり、よりいっそう体幹部分のブレは抑えられます。

     

     

    単に柔軟性があっても“免震装置”として機能させることは出来ません。

    身体の仕組みに沿った、自然な動きを行える柔軟性が求められます。

    こうした動的ストレッチは神経系にも働きかけ、以前アクセルとブレーキに例えた筋肉の使い方の再教育にもなってきます。

     

     

    動的ストレッチである程度身体が動く状態になったところで、“耐震装置”にあたる体軸自体と“制震装置”にあたる筋肉の強化練習を行いました。

    写真を見ると各所の柱となるところがまだまだ真直ぐになりきれていません。

    しかし講習の前後で見違えるほど体軸を真直ぐに近づけることが出来ました!

    012

    こうした成果は簡単に得られるものではありません。

    感じ辛い感覚を研ぎ澄ませ、こちらの伝えた情報のイメージ力も重要になります。

    選手が私のつまらない話に真剣に聞き入って努力してくれたからこその成果だと思います。

     

     

    講習2日目の午後からは県の強化練習会があり、講習会に参加してくれた選手もその練習会に参加していました。

    他の参加者と比べて午前中一杯講習会で動いて疲れていたはずです。

    それでも普段より練習タイムが格段に上ったり、動きの良さを当人のみならずコーチも認める選手が少なくなかったようです。

     

     

    水泳に反映された成果を目の当たりにして、本当に選手が頑張ってくれたなぁと思います。

    また講習会開催にあたって仕事が増えるのに給料が増える訳でもないコーチの方々にも、お手間をおかけいたしまして感謝しております。

     

     

    国体に向けて、お力になれることがあればまだまだ積極的に取り組んでいきたいと思っています。

    関係者の皆様、よろしくお願いいたします。

  • 院長の独り言
    40.ベッドカバー

    ここのところ体幹をテーマに少々難しい話が続いています。

    ので、ちょっと箸休めで接骨院内のことを。

     

     

    接骨院を開業して10年以上経ちますから、いろいろなところが消耗してきています。

    治療用のベッドでは、患者様に動いて頂くので結構擦れてしまいます。

    気が付けばベッドカバーも薄い部分が出てきて…穴が開いてきてしまいました。涙

     

     

    参ったなぁと思っていたら、女子スタッフが空き時間に何やらやっています。

    そう、穴の開いたところを手縫いでチクチク補修していてくれたのでした!

    (写真左を拡大したのが写真右です。裏から布を当てた上で細かく補修してくれているのがお分かり頂けるでしょうか?)

    008 007

    女子スタッフ様様です。

    本当にありがたいことで、感謝しています。

    普段院内を忙しく駆けずり回っている彼女たちですが、こんな細やかなこともして院内を盛り上げてくれています。

     

     

    院内には他にも経年劣化が見られるところがあります。

    皆様もお気付きになったことなどございましたらなんなりとお伝え下さい。

    今後も随時補修など行っていき、快適な接骨院となるよう努めていこうと思います!

     

     

     

     

  • 院長の独り言
    39.体幹シリーズ④ 筋肉はショックアブゾーバー

     

    地震対策は筋・骨格系を強化するような耐震の他に、制震免震があります。

     

     

    今回は制震にも免震にも用いられるショックアブゾーバー(ダンバー)についての話をします。

     

     

    ショックアブゾーバーはゆっくりした揺れに変わった建築物を、早く止めるためのエネルギー吸収装置としての役割を持っています。

    制震

    ショックアブゾーバーは大きく2つのものが組み合わさって構成されています。

    ①バネなど弾性要素で動きを跳ね返すもの

    ②液体などの粘性要素で、動きを吸収するもの

     

     

    ①は地震によってバネが伸ばされ、それが縮むことで揺れと逆方向に建物を引っ張り、建物内が揺れないような仕組みです。

    ただしこのバネの仕組みだけだと、揺れという動きがなかなかなくならず、建物は揺れ続けてしまいます。

     

     

    そこで②の動きを吸収するものが必要となるのです。

    ②は地震の揺れでバネが伸び縮みする際の抵抗となります。

    地震によって10の力でバネを伸ばすところが②によって8にとどめ、縮む勢いをさらに減らして5に...といった具合です。

     

     

    ちなみにショックアブゾーバーは車やオートバイのサスペンションにも使われています(下の写真)。

    路面の凸凹による振動を吸収して車体に伝えず、快適に運転出来るようにしています。

     

    サスペンションの性能が劣化すると、車が揺れ始めるとモワンモワンと長く続いてしまいます。

    これはショックアブゾーバーの、動きを吸収する作用が弱まったために起きるのだそうです。

    ショックアブゾーバー

     

    さて、人体でショックアブゾーバーの役割を果たすものは何なんでしょうか?

     

    人体の60%は水分ですから②の粘性を持つ部分は多分にあります。

    また弾性組織と言われるものも沢山あり、①の特性を有しています。

    ですから身体の成り立ちから見ると、全体がショックアブゾーバーとしての役割を持っているとも言えるでしょう。

     

     

    そんな中で特筆されるのは筋肉(及び腱)です。

    筋肉には①と②の要素両方を兼ね備えた粘弾性という性質があります。

     

     

    また筋肉は意識してトレーニングをすることで様々にカスタマイズ、コントロールすることが可能です。

    人体で①②の要素を持つ組織で筋肉ほど意識して変化させることの出来る組織は他にありません。

     

     

    つまりトレーニングのやり方次第では筋肉にショックアブゾーバーとしての大きな役割を果たさせることが出来るのです。

    そしてフルスイングをしても軸がブレず、繰り返しても故障しないような身体にしていく可能性があるのです。

     

     

    筋肉のショックアブゾーバーとしての能力を高めるトレーニングは、また回を改めてご紹介いたします。

     

    次回は免震装置の主役で建物と地面を“絶縁”する部分にフォーカスして、身体の話をしたいと思います。

  • 院長の独り言
    38.体幹シリーズ③ 体幹は地震対策?

    前々回、野球のフルスイングでバットを振るアクセルと止めるブレーキのところから体幹の話をさせて頂きました。

     

     

    この話から体幹筋の役割に、動きの中でも身体を制動してバランスを保つこと、強く大きく動いても身体自体を壊さない強さをもつこと、等もあるように私は考えています。

     

     

    つまり体幹には、建物の地震対策のような役割を果たしている部分もあると思います。

     

     

    建物の地震対策は大きく分けて耐震制振免震の3つに分かれるそうです。

    私はすべてひっくるめて“耐震”だと思っていたのですが...。笑

    それぞれを簡単にまとめてみました。

    耐震、制振、免震

    耐震:壁・柱などを強化したり、補強材を入れることで建物自体を堅くして振動に対抗する。

     

     

    制震:建物内に振動軽減装置を設置し、地震のエネルギーを吸収。建物に粘りをもたせて振動を抑える。

     

     

    免震:建物と地面の間に免震装置を設置。建物を地面から絶縁して、振動を伝えない。

     

     

     

    今回は耐震を人体に当てはめてみましょう。

    柱を強化するものですから、まさしく身体の軸となる骨格とそれに付随するものを強化することになるかと思います。

    また建物の壁にあたるのは皮膚あるいは筋肉ということになるでしょうか。

     

     

    一般に言われている「体幹」での重要性は、基本軸、固定軸として体幹を安定・強化することです。

    強く速いスイングをしてもブレない強く太い軸、体幹が求められます。

     

     

    したがって一般的な体幹トレーニングとは、まさに耐震構造を強化することに置き換えられる感じがします。

    地震でも曲がらない柱や梁、ヒビの入らない壁、とはまさに強い筋・骨格系ということになるかと思います。

     

     

    ただ地震対策としては、耐震より制振、免震構造の方が優れているとされています。

    大地震の際、免震であれば耐震の1/3程度に揺れを軽減出来るということです。

    なぜなら制振、免震構造には、揺れを吸収するものだからです。

     

     

    生体に置き換えた場合でも、そうした揺れを吸収するということが体幹のブレをなくすのに一役買うのではないでしょうか。

    次回、この揺れを吸収するもの(フルスイングでいうところのスイングを終わらせるもの)について考えてみたいと思います。

  • 院長の独り言
    37.体幹シリーズ② 一般的な「体幹」

    womanabs

    そもそも体幹とは何なんでしょうか?

    私の考えをご紹介する前に、まず一般的に語られている、「体幹」というものをご紹介したいと思います。

     

     

    まず「体幹」とは身体のどこを指すのでしょうか。

    調べてみると四肢を除いた胴体部分を指すものと、四肢と頸部を除いた胴体部分を指すものがあります。

    頭の部分を含むか含まないかは考え方にもよるようです。

    まぁおおよそ胴体部分ということになるかと思います。

     

     

    「体幹」トレーニングでは、腰背部、腹筋群、骨盤周りの筋群にトレーニングの主眼が置かれているように感じました。

    その中でも表層と深層に筋肉の役割を分けて捉えているのが特徴です。

    深層は身体を支え、表層は動かすといった役割分担のようです。

     

     

     

    さらに深層の筋群が特に重要なようです。

    ここに意識を置いてトレーニングし、強化されると体幹がブレず、強いものとなるそうです。

     

     

    体幹トレーニングの効果として、走る、跳ぶ、投げる、振る、泳ぐ、といったあらゆるスポーツシーンで見られる動きで芯となる軸が強くなり、末端までしっかりと力を伝えられるようになるそうです。

     

     

    また身体を支える筋肉が鍛えられると姿勢が良くなるそうです。

     

     

    ちなみにモノが動く時は、固定されたモノに対してパワーを伝えると効率的です。

    水中で“けのび”をする際、壁を蹴って行うのと水を蹴って行うのでは進む距離が大きく異なりますよね。

     

     

    ですから体幹を基本軸として安定させ、手足を移動軸として運動を行うという「体幹」の考え方は、とても理に適っていると思います。

     

     

     

    大変大雑把ではありますが、私の理解している一般的な「体幹」はこんな感じです。

    「体幹」トレーニングのみならず、物事は捉え方・やり方等些細な違いで効果は大きく変わります。

    私の一般的な「体幹」への理解も大筋で誤りはないと思っています。

    (勉強不足な部分をお気付きの方はお知らせ下さい。汗)

     

     

    ただ「体幹」は話す人によって用いられ方や意味が大きく異なるように感じます。

    このようなことから、私は使われている文脈から、その都度「体幹」の意味を考えるようにしていました。

     

     

    私自身、一般的な「体幹」理論・トレーニングに大賛成な部分と???と思ってしまう部分があります。

    次回から、私の考える「体幹」について順次お話していきます。

  • 院長の独り言
    36.体幹シリーズ① 体幹って何?

    baseball081

    先日プロ野球をTV観戦していて、解説者の「最近はフルスイングする打者が減りました」といった話を耳にしました。

    野球の質によるところもあるのでしょう。

    しかしそれ以外の要因もあって常にフルスイングする打者が少なくなってきている、とのことでした。

     

     

    フルスイングには、それに耐えられる身体の強さが必要です。

    と同時に故障のリスクも高くなる、というような解説があったと思います。

    確かにプロ野球でスイングの際に脇腹などを痛めた、という報道を時々耳にします。

     

     

    スポーツに共通することとして、手や足を大きく回す(振る)動きがあります。

    手足が身体の中心から投げ出されるように大きく離れる動きです。

     

    ボールが大きなパワーで放たれても、手足が一緒に空中に投げ出される訳にはいきません。

    手足が身体と繋がったままでいられるのは、身体の中心から離れていくパワーを吸収するモノがあるからです。

    モノの主役は筋肉です。

     

     

    フルスイングをする、いわばアクセルとなるパワーの源は、もちろん筋肉です。

    ただ筋肉はスイングを終わらせる、バットや動いた身体を止めるブレーキの役割も果たしているのです。

     

    ではどういった筋肉がフルスイングという動作に関わるのでしょうか。

    それは体幹の筋肉や体幹から枝葉のように伸びた各筋肉群です。

    これらがタイミングよく働くことでフルスイングは成されています。

    そしてこの体幹から末端に繋がる筋肉がしなやかなブレーキの役割を果たせなくなると、フルスイングの際脇腹を痛めるといったことが起こるのです。

     

    こうしたことから、いわゆる体幹の強さが必要とされるのです。

     

    ここまでお読み頂くと、

    体幹の強さ = 体幹の筋力が強い

    といった単純なものではないんじゃないか?とお気づきになった方もいらっしゃるかと思います。

     

    その通りだと、私も考えています。

    ただ一般的な「体幹」と言われているものはあまりにもアバウトなので、私にとってはブラックボックスです。

     

     

    これから複数回(結構な回数になると思います)に渡って、私なりの体幹に対する解釈、故障の予防、トレーニング法などをお伝えしていこうと思っています。

    ご期待下さい!

     

  • 院長の独り言
    35.インカレ、国体

    013

    9月の第一週に日本学生選手権(インカレ)、第二週に国体が行われ、競泳の今シーズンが終了しました。

     

    大きな大会があると体力的にも精神的にも消耗するのですが、今シーズンはとにかく疲れてしまいました。泣

     

     

    ご承知の方も多いかと思いますが、 スポーツの世界では選手はもちろん裏方の仕事も非常に体力を必要とします。

     

     

    我々が行うコンディショニングは選手、指導者が積み上げてきた日々の鍛練、節制に比べると大してパフォーマンスに影響を与えないと、頭の中は理解しています。

    またトレーナーの仕事は選手の結果にとらわれてはいけないこともよくよく分かっています。

     

     

    ただ競泳はタイム(記録)という明確な結果の出る競技です。

     

    だから1/100秒でも速く泳げればこちらも嬉しいですし、1/100秒でも遅いタイムになってしまえば「何が悪かったんだろうか…」と考えてしまいます。

    結果が目の前で出てしまうがために自然と些細な見逃しもないように、集中力を高く高く保って仕事をしてしまいます。

     

     

    さらに勝負を賭けた大きな大会では、レース前の緊張、レース後の喜怒哀楽など…

    さまざまな思いを受け、我々裏方でさえも感情を揺さぶられます。

     

     

    大げさでもなんでもなく携わった1レースで、その選手の人生を変えてしまったということは多々あります。

     

     

    こうしたことの積み重ねで大会帯同でいつもの仕事以上に、肉体的にも精神的に消耗してしまったのだと思います。

     

     

     

     

     

     

    今シーズンを最後に競泳の現役から引退する人は沢山居ると思います。

    インカレ、国体はシーズン最後の試合となることが多く、今年もそうした選手が何人も挨拶に来てくれました。

     

     

    こうしたひと時はまさにプライスレスで、この仕事をしていて良かったなぁと思います。

    ただ最後に話す時はいつもなんとなくあらたまってしまって良い言葉が見つからず、上手く話せず…。苦笑

    嬉しいけれど、苦手なシーンでもありますね。笑

     

     

    今後も現役を続けられることになった人は、次のステージで更なる活躍が出来るよう頑張って下さい!

     

    引退することになった人は、水泳で培ったものを今後に活かせるよう、応援しています!

    本当にお疲れ様でした!

     

     

     

     

     

     

     

     

     

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