今回は骨盤、股関節を見ていきましょう。
図Aのように骨盤も股関節も腰まわりの関節の一つです。
腰も肩のように複数の関節の複合体と言えるかもしれません。
実際、腰関節というものはなく、「腰」の定義と言えるものはないように思います。
腰まわりの関節を一つずつ見ていきましょう。
①胸腰(キョウヨウ)関節
背骨のつながりの一つです。背骨の真ん中あたりにある胸椎(キョウツイ)の一番下(第七胸椎)と下の方にある腰椎(ヨウツイ)の一番上(第一腰椎)の間の関節。
この関節、1つだけを指すのではなく、左右2つの関節を合わせて指しています。
https://ktc-web.net/features-about-bodyに関連したことを書いています。
なお上のリンクページにもあるのですが、背骨同士の関節である①②③はどれも左右2つずつあります。
ただし背骨の種類(頸、胸、腰)によって構造の違いがあります。
このことについても先程のリンクページで触れていますので、ご参照頂けたらと思います。
②腰椎椎間(ヨウツイツイカン)関節
第1~第5腰椎の間の関節です。
身体を前後、左右に倒す時に働きますが、左右に捻ることは苦手な関節です。
③腰仙(ヨウセン)関節
第5腰椎と仙骨をつなぐ関節です。
④股関節
「腰」に股関節を含めないことが多いかもしれません。
ただ股関節は自由度が高く、腰を動かす時に連動して大きく動くことが多いのでここでご紹介しています。
腰を使うといった時、実際にはこの股関節の動きがカギを握ることは非常に多いです。
⑤仙腸(センチョウ)関節
骨盤の中の関節です。
一般的な骨盤調整というものは、ここの調整をするようです。
解剖学では肩関節でご紹介した“肩鎖関節”と同様に、動きはあるけれど動きは少ない関節という分類になります。動かない関節とする考え方もある関節です。
⑥恥骨結合(チコツケツゴウ)
ここも骨盤の部分ですが、解剖学上関節ではありません。
背骨同士の結合部(椎間円板(ツイカンエンバン))同様、繊維軟骨(センイナンコツ)による連結部です。
結合部は関節ではないのですが動きの出る部分で、この微細な動きがさまざまな動きを円滑にしています。
なお我々が行う治療では、仙腸関節だけでなくこの恥骨結合にもアプローチしています。
腰について話すのであれば、先に出てきた椎間円板についても触れなければいけませんね。
椎間円板は図Bのように背骨の椎体(ツイタイ)というところの間部分、つながりのところです。
前述の①②③の関節では、それぞれの関節と椎間円板が協同して動きます。
椎間円板には、ゼラチン状の髄核(ズイカク)という球状のものが真ん中にあります。
図Cはこの髄核の動きを表しています。
動きの方向性は多岐に渡るのですが、その動く範囲は大きくありません。
椎間円板は背骨一つ一つの間にありますので、その数も沢山あります。
この沢山あるものが少しずつ連動して大きな運動を行います。
ちなみに椎間板ヘルニアというのはこの髄核の問題となります。
さらにもう1つ、林先生なら知っていそうなちょっとした雑学的なものを。笑
一般に健康な人は、朝と比べて夕方は身長が縮みます。
この原因は、髄核の水分量が朝に比べて夕方は低くなるためなんです。
水分量が減ることで髄核がしぼんで椎間板が薄くなってしまい、身長も縮んでしまうのです。
動作も顔や性格と同じで個性があります。
腰の場合も動作によって動く関節、各関節の貢献度が異なります。
ただ関節の特性を無視した動きの個性は、怪我や故障につながります。
スポーツではパフォーマンスを下げる原因ともなります。
頭でっかちになると上手くいかない場合もありますが、それぞれの関節の特徴が頭の片隅にあると良いかもしれませんね。