院長の独り言

院長の独り言
1.鎌倉の大仏

先日鎌倉の大仏を見に行ってきました。
この大仏さんは過去に暴風雨などで何度も崩壊し、首が数回もげてしまったことがあるそうです。 現在はその首を強化プラスティックで補強しているそうで、そんな文化財は他にないそうです。 首がもげてしまったエピソードなんて初めて聞くパターンなので、なぜかちょっと考えてみました。 するとこの大仏さん、私から見れば首がもげて当然にしか見えなくなりました。

 

Kamakura_Daibutsu_Behind
写真を見て下さい。真横からのものではないので分かり辛いかもしれませんが、背中が丸く頭が 首から大きく前に出ているのが分かります。座禅の姿勢というのは脚を組みます。そのため骨盤 が後ろに傾き、背中が大きく丸くなってしまいます。(服のせいで真っ直ぐに見えますが、身体 が根元から後ろにいくように丸くなっています。)こうなると頭はバランスをとるため背中 から前に丸く伸ばさざるを得ません。さらに言うと、大仏さんは床にあたる台座に固定されてい るから身体が後ろに倒れずに済んでいるのでしょう。 このように、この大仏さんは頭を前に垂れるようにしないと全身のバランスの取れない無理な姿 勢なのです。そんな姿勢で長い年月雨風にさらされてきたために、首の部分が頭の重さに耐え切 れず、もげてしまったのだと思います。

 

人間には骨という柱があってそれを筋肉などが支えています。柱といっても吊り橋のように筋肉 の張りに引っ張られているような柱です。これに対してこの大仏さんは人が中に人が入れるよう になっています。いわゆるハリボテです。人間に例えると皮膚だけで身体のバランスを保ってい るようなものです。青銅製とはいえこれでは人間よりも体を支える力がなくて当然でしょう。 我々人間はこの大仏さんのハリボテと違い、柱があってそれを筋肉が支えてくれるので複雑な動 き、難しいバランスの姿勢もとることが出来ます。しかし人間は生身ですから疲労します。無理 な姿勢を長くとっていればそれだけ筋肉に負担をかけてしまいます。 負担をかけ続け疲労が溜まるとその筋肉は動かしにくく(制御しにくく)なり、効率の良い関節運 動が出来なくなります。これらによって人間は肩こり、腰痛に代表されるような不定愁訴を訴え るようになります。 大仏さんは銅ですから疲れません。しかし人工的な構造物としては非合理的だったため首が落ちて しまったのです。生身の人間がそれを真似して身体に良い訳ありませんよね。

旅先のちょっとした気付きでした。

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