院長の独り言

院長の独り言
9.岩手県合宿

GWに雫石で行われた県合宿に行って来ました。
チームによって震災の影響で泳げない期間が違うので、今年は例年と状況が変わっていました。 例年は参加標準記録があり、誰でも参加出来る合宿ではありません。しかし今年は各チーム内で参加調整出来ました。 そんなこともあり選手は頑張っていましたが、例年より強化の色は薄くなったようです。 練習グループも例年の種目・年齢別ではなく、チーム毎でした。
GWの段階ですでに通常練習を行っているチームが多かったのは救いでした。 しかし未だにプールの復旧工事が行れなかったり、諸般の事情でプール利用の出来ないチームがありました。 そうしたチームは合宿でようやく泳ぐ体を作れたという状況です。 ただGW後はまたしばらく週1~2回プールを借りて練習を行うのがやっと等という状況に戻ってしまうそうです。
震災でプールがなくなり、チームを移籍して合宿に参加している選手もいました。 その選手の移籍元のチームでは、家も流されたので他県に移籍してしまった全国大会常連の選手もいました。
プールがなくなったそのクラブは今回の震災を機に解散となってしまいました。 そこで練習していた選手の一部は、片道1時間半くらいかかる隣のクラブに数家族が協力して送迎して通っているそうです。
この地域では選手を育成するようなクラブが一つも無くなってしまいました。 競泳でインターハイに出るような選手の多くは小学校に上がる前に水泳を始め、遅くとも小学校高学年頃には選手となっています。 アスリートを育てるのは普通の産業を育てる以上に時間も労力もかかります。 それなのにこの地域では水泳選手を育てる土壌が無くなってしまいました。 このまま2~3年過ぎたら、この地域からは県合宿レベルでも参加出来る選手が10年は出なくなってしまうでしょう。 事は重大です。なんとかしたいものです。

例年の合宿と形態が違うので、雰囲気も違いました。 例年は普段練習していないライバルと一緒に練習するので選手にとって刺激があります。 そのため普段以上のレベルで練習を行うことが出来ます。 しかし今年は他のチームと触れ合う時間がほとんどないためか、練習で盛り上がっているシーンが少なかったように感じました。 全体に練習の手を抜いている風はなく、闘志が内に秘められているような感じでした。
被災した大変さで暗くなっている感じはなく、純粋に水泳を頑張ろうという選手が多かった感じがしました。 想像以上に雰囲気は明るく、このあたりは安心しました。 被災して移籍した選手も県内では顔見知りだったこともあり、良い意味で可愛がってもらっているように見えました。

日本代表経験者のメッセージ入りポロシャツは予定通り誰もが見えるプールサイドに掲げられました。 写真は最終日に撮影したもので、見ている人もまばらです。 しかし掲げた当初は選手の輪が何重にもなってずっと見ていたそうです。 メッセージを励みに厳しい練習に励んでもらえたらと思います。

メッセージ入りポロシャツ

«一覧に戻る

上に戻る