地震対策には柱などを強化する耐震、揺れを吸収する制震、建物と地面を絶縁して揺らさない免震、の3つがあります。
今回は3つ目の免震についてお話しします。
免震の代表的な構造は、図の左のようになっています。
免震装置には大別して二つあり、一つ目は図右の上のアイソレーターと言われる装置です。
アイソレーターは、周期の短いはげしい揺れを、長い周期のゆったりした揺れに変える役割を持っています。
もう1種類の免震装置は図右の下にあるショックアブゾーバーです。
このショックアブゾーバーは大きさなどの違いはありますが、前回の制震にも用いられていました。
免震でのショックアブゾーバーの役割は、ゆっくりした揺れに変わった建築物を早く止めることです。
つまりエネルギー吸収装置としての役割を持っています。
免震で用いられるショックアブゾーバーは制震に用いられるものより大型で、絶縁部分に用いられるようです。
人が歩く時、重心が動くので足が出ます。
足が出れば自然と腕も動きます。
足のみ振ろうとしてもバランスを崩してしまうため、必ず反動で身体のどこかが動きます。
これが人間におけるアイソレーターといえるかもしれません。
重心が大きく動くと身体がそのまま倒れてしまうため、重心と逆方向に身体を動かして重心を制動し、バランスを保ちます。
ウォーキングやランニング時の腕振りがイメージしやすいかと思います。
足の動きに対して腕の振りが入るために、体幹部分が安定するのです。
体幹が建物部分だとすると、手足の付け根が絶縁部分と言えるのかもしれません。
(歩行について詳しくは以下をご参照下さい。https://ktc-web.net/features-about-walk)
これから冬はマラソンや駅伝シーズンになりますね。
ラストの競り合いでは身体に無理をしてでもスピードを上げなくてはなりません。
前半は身体(体幹)が丸太棒のようにブレなかったものが、無理をするとブレてきます。
これは足に対する腕の振りでブレ(振動)を打ち消していたものの追い付かなくなり、身体(体幹)自体も動かざるを得なくなったということです。
(下の写真もラストスパートで頑張っているがゆえに腕振りに体幹がもっていかれていることが、お分かり頂けるかと思います)
これを建物に例えると、地面との絶縁部分である免震装置で揺れを打ち消していたものが、免震装置の性能が追い付かなくなって建物自体も揺れ出してしまったということです。
水泳のクロールでも右手が水に入る際に左足のキックが入ります。
これは手足を対角線にタイミング良く動かすことで身体全体がブレることを防いでいます。
バタフライでも手を入水する際にキックを打ちます。
足が下にあるからこそ腰が浮き、頭部は前下方へグライドしていきます。
これにより腕は水面に近い所に置きやすく、腕から体幹の筋肉がショックアブゾーバーとしてパワーを溜めて腕の搔きへと繋がっていくのです。
これら体幹を中心に身体を反対に動かすようなものが人体の免震と言えるでしょうか。
次回はこのメカニズムについてもう少し深く迫っていきたいと思います。