院長の独り言

院長の独り言
5.ぎっくり腰

gikkurigoshi先日ぎっくり腰になってしまいました。朝起きたら全身の痛み で動けなくなってしまいました。前日夜寝転がって(不良姿勢)、 ずっとW杯サッカーを観続けてしまったのが原因と思われます。 寝ても起きても痛み、身体を伸ばしたり動かすことが満足に出 来ません。しかしこの日は梅雨入り前の貴重な晴れた休日だっ たので、なんとしても趣味の草サッカーに行きたかったのです。

 

身体のどこが悪いかおおよそ見当は付いたのですが、身体が言うことを聞きません。患者さんにいつも言っているストレッチもままなりません。自分の身体でないよう節々が痛く、身体の各パーツは単なる丸太ん棒のようでした。それでも動くところから休み休みストレッチなどを1時間以上続けました。 なんとか動けるようになってきたのでそこから自転車にしがみついて、草サッカーをしに行きました。
動き出すと身体は次第に軽くなり、ミニゲームにも大きな問題なく参加。ただ休憩すると痛みが増し、動き出すとまた軽快するの繰り返しに。痛む中動き出すには勇気が要り、練習の最後頃は頭痛・吐き気と熱っぽさも混ざってしまいました。練習前より身体は見違えるように動くようになったものの、体調自体は下がってしまいました。

 

サッカーから帰宅後まず温かいお茶漬けや野菜スープを食べ、大量の水分も摂りました。そして力まず身体を丸めないよう注意して、 頭部を冷やしながら横になりました。氷の溶けるスピードはいつにも増して早かったです。1時間ほどすると少々の熱っぽさは残ったものの、腰痛以外の体調はだいぶ回復しました。そこで翌日のため更に体調を上げる努力をしました。
夜になって雨が降り出していたのですが、外へ歩行に出たのです。ウインドブレーカー姿で傘はもちろん持ちません。30分近く歩いたところで、この日何をやっても伸びてくれなかった背中が伸びてきました。身体の軸もようやく出来始めました(サッカーの間は背中を腕で支えて動いていました)。動かなかった首も動き始め、歩行の素晴らしさを久しぶりに体感しました。ぎっくり腰で動けなかった朝から、人の手を借りずに一日でこれだけ回復出来たのは、我ながら驚異的だと思いました。

 

翌朝起きると動けないようなことはなかったのですが、身体の軸は再び崩れ、本調子にはほど遠い状況でした。仕事中は中腰・前屈姿勢が多く、なかなか辛いものでした。痛みの原因は骨盤・股関節の動きの悪さ、上半身の軸の欠如だろうと考えていました。そこで下半身から体幹中心のストレッチと軸作りで対応してきたのですが、ある程度回復したところから、自分のイメージ通りに痛みが減らなくなってきました。
そこで視点を変え、アプローチの少なかった上半身をマシントレーニングでほぐしてみることにしました。すると1セット目で腕から肩、胸の緊張が尋常でなかったことが分かりました。このあたりがほぐれると背中も動き出し、一気に脊柱が整っていくのを感じました。下半身に突っ張りを覚えて出来なかった前屈や中腰姿勢も、これですんなり出来るようになりました。

 

今回自分自身がぎっくり腰になって三つのことを再認識しました。
一つ目はアプローチ方法の見直しです。
今回の腰痛では改善したいところへアプローチしようとした時、ストレッチではダメでも歩行では良かったといったことがありました。重症度によってアプローチ方法を変えていくことは行っているつもりでした。しかしこれほど効果に違いが出るとは思ってもみませんでした。
二つ目は主観と客観にはズレがあり、痛みなど主観(思い込み)が強いほど客観(的評価)との差が広がり易いということです。
今回も痛いところに目がいきましたが、客観的に大きな問題となる患部は別にありました。主観と客観の問題はよく言われますが、医療・スポーツの現場では非常に重要です。今回身をもって体験した形になりました。
そして最後に運動の素晴らしさです。運動の方向性(種類・方法)や強度などはしっかりと見極めなければいけません。しかしその方向性が適正であればこんなに良い治療はありません。今回は特にストレッチ、歩行、バリスティック・レジスタンス・トレーニングがタイミング良くはまった感じでした(サッカーの練習はさすがに運動強度が高かったのでしょう)。痛いので動きたくない思いもありました。しかし人にやってもらう治療に頼って運動しなかったら数日仕事どころではなかったでしょう。

 

身体を壊すと患者さんの気持ちを感じることが出来るので、このぎっくり腰も良い経験となりました。しかしこんなに痛くて不自由な思いはそうそうしたくないですね。
最近怠りがちだった健康のための身体作り(歩行、ストレッチなど)を忘れないよう心掛けたいと思います。
また患者さんの身体が一日も早く良くなるよう、さらなる努力をしたいと思いました。また適正な運動というものを、しっかり伝えていけるようにしたいと思います。

«一覧に戻る

上に戻る