身体動作の学習

身体動作の学習

    1. 人間の骨格構造に合った動作

      ①人間の骨格構造に合った動作

      人間の背骨は首にあたる頸椎(ケイツイ)、その下で胸郭の高さまである胸椎(キョウツイ)、骨盤へと続く腰椎(ヨウツイ)、骨盤の一部である仙椎(センツイ)・尾骨(ビコツ)と繋がっています。

      • 呼吸法
      • 同じ背骨ですが名前が違うのは、それぞれに構造や役割も異なるからです。
        背骨のほとんどには上の骨と下の骨をつなぐ関節突起(カンセツトッキ)というものがあります。この関節面の角度(構造)によって頸椎、胸椎、腰椎の役割が異なるのです。頸椎の関節面が地面と平行で、横を向き(回旋し)やすくなっています。腰椎は関節面が地面に対して垂直で脊柱を前後に曲げやすいのですが、横に回るような動きはほとんど出来ない構造です。胸椎はこの二つの中間、関節面が斜めになっています。脊柱を前後に曲げることも横に回すこともある程度出来る構造です。

      きくち接骨院の治療

      上が頸椎(の4番目)、左が上から見たところ、右が横から見たところです。下は腰椎(の3番目)で、頸椎同様上からと横から見たところです。
      が関節突起の上につながる関節面です(腰椎側面の関節面はの裏側)。
      頸椎と腰椎を比べると頸椎の関節面は横に広く、腰椎は上下に広い構造になっていることがお分かり頂けると思います。
      効率的な身体動作を行うためにはこうした骨格構造を無視することは出来ません。本院でのトレーニングや治療での動きの指導ではこうした身体各所の骨格構造を考慮して行います。

    2. ロスのない筋活動形態と連動

      ②ロスのない筋活動形態と連動

      筋肉にはいろいろな活動様式があり、それぞれに特徴があります。その中に1回筋肉が収縮したらしっかり休んで筋肉を緩ませるものがあります。これを単収縮(タンシュウシュク)と言います。動きを伴う場合はこの単収縮が一番効率的な筋活動様式となります。
      物質が動き出すと慣性の法則が働きます。地球上には重力や空気などの抵抗となるものもありますが、これらに打ち勝つだけの力で動き出せば、新たに力を加えることなく物質は移動し続けます。

      これは身体にも当てはまります。
      したがって筋肉も単収縮すれば、抵抗に打ち勝つ限り可動範囲内は新たな力を加えることなく動作を遂行します。

      動作を行うにあたって抵抗となるものは沢山あります。その中で一番大きな抵抗となり、尚且つ自分で減らせる抵抗があります。それがまた筋肉の活動なのです。

      腕を曲げようとした際を例にとります。腕には曲げる筋肉と反対の伸ばす働きをする筋肉もあります。腕を曲げようとした際曲げる筋肉はアクセルとなります(主動筋(シュドウキン))。

      この時伸ばす筋肉(拮抗筋(キッコウキン))が働くとブレーキになります。アクセルとブレーキをきっちり使い分けられれば良いのですが、なかなかそうは出来ません。思い切りアクセルを踏もうと思うと無意識にブレーキも強く踏んでしまうものなのです(筋肉の共縮(キョウシュク)
      といいます)。この共縮こそが動作を行うにあたって最大の抵抗と言えるのかもしれません。


      拮抗筋 右写真は腕を曲げたところです。曲げる時はアクセルが上腕二頭筋(ジョウワンニトウキン)になります。逆に腕を伸ばす上腕三頭筋(ジョウワンサントウキン)がブレーキになります。
      上腕二頭筋と上腕三頭筋の両方が活動してしまうような筋収縮形態を共縮と言います。

      きくち接骨院の治療人の筋肉は動作を行うにあたって、前出のアクセル(主動筋)・ブレーキ(拮抗筋)の関係に代表されるように、連動して活動しています。腕を挙げるにも、腕の付け根であり肩という滑車を支える体幹の筋肉群から活動しています。
      そして実際に滑車を動かす肩周りの筋群が働いて腕が持ち上げられる訳です。この時滑車を逆に動かす筋肉は緩み、柱となる体幹は安定していると効率的に動作を遂行することが出来ます。こうしたことがロスのない筋肉の連動ということになります。

      アスリートのインタビューで「チャンスに力んでしまった」といったものをよく耳にします。これはプレッシャーなどから必要以上に筋肉が活動してしまったということです。その必要以上の大部分が先に挙げたブレーキの部分で、共縮など連動を妨げる部分です。こうした“力み”による失敗はよくあることなので、アスリートは何度も何度も反復練習を行うのです。
      翻って日常生活で行う動作も意識して反復練習することで動作パターンを変えられます。

    3. 人間が本来持っている反射や重心の移動

      ③人間が本来持っている反射や重心の移動

      人間は転倒を防ぐためにバランスを保ちます。
      そのためアンバランスになった際無意識に足を一歩踏み出したり腕が勝手に横や上に挙がってしまうのです。これによって重心の移動をコントロールし、転倒を防いでいるのです。
      こうしたものが人間の本来持っている反射の一つです。

      写真は
      A 立っているところ
      B 押されると倒れないように手足が反応し
      C 倒れないようにしている様子です。

      きくち接骨院の治療

      A

      きくち接骨院の治療

      B

      きくち接骨院の治療

      C

      この重心の移動による反射で手足が動くことを利用すると、歩行やランニングも非常に効率的になります。本院での治療やトレーニングではこうしたものも取り入れてより自然に、効率的に動作を遂行することを目指しています。

    4. 自然法則(慣性や重力など)に則った動き

      ④自然法則(慣性や重力など)に則った動き

      物質が動き出すと慣性の法則が働きます。地球上には重力や空気などの抵抗となるものもありますが、これらに打ち勝つだけの力で動き出せば、新たに力を加えることなく物質は移動し続けます。トレーニングでおもりを一気に持ち上げると慣性の法則が働き、おもりは上に上がっていきます。しかし地球上では重力が働いているので、ある程度持ちあがったら重力に負けておもりは下に落ち始めます。おもりを大きく上に持ち上げようとした時は最初に大きな力を発揮して慣性の法則に則って上がるところまで上がるようにします。2度3度と力を加えるようなことはしません。また重力によっておもりが下降し始めたら、最低限のブレーキしかかけず、なるべく筋肉を休ませます。

      • きくち接骨院の治療

        りんごが落ちることで有名な万有引力の法則

      • 日常生活動作でも同様です。歩行の指導ではまず一歩出る前の姿勢から指導させて頂きます。一歩出る前の直立姿勢、その最初に重心をしっかり踵(カカト)に載せます。そこから重心が足の裏をゆっくりと前に進み拇趾球(ボシキュウ)まで移動します。この重心移動のパワーと反射を利用して足を前に出し、さらに重心を前に進めていきます。この繰り返しによって歩行が続いていきます。つまり重心が移動したらその慣性に従って歩を進めるというのが歩行なのです。こうすれば最初の重心移動のパワーを利用したまま歩き続けられ、余計な力を使わず効率的に歩くことが出来ます。本院ではこうした自然法則に従った形でトレーニングや治療を行います。

  • 我々が提案している運動、治療では、効率的な身体動作(再)学習がキーワードとなっています。効率的な身体動作とは、最低限の出力で目的を遂行する動作です。車に例えると省エネ運転です。これを達成するには左の4つの要素が必要になります。(それぞれの説明がクリックして頂けると表示されます)

  • ここでの(再)学習とは、運動を繰り返すことで神経系に働きかけていく(中枢神経におけるプログラミング)ということです。簡単に言うと、動きの局面でどういう風に身体を動かすか具体的に脳でイメージ・意識しながら繰り返し行うことで、身体の動かし方を無意識下でも出来るようにしていくということです。野球やラケットスポーツで行われている素振りなどの反復練習は、中枢神経のプログラミングをしているということになります。これまで何気なく行っていた非効率的な身体動作(障害を誘発する動作など)に変わり、効率的な身体動作を繰り返すことで新たな身体動作を学習します。これにより障害を起こしにくい身体動作(腕の挙げ方、歩き方など)、さらには競技フォーム(スイング・投球・ランニング等々)を獲得していきます。

  • この身体動作の学習はケガの治療の段階からリハビリやケガの予防・トレーニングの段階まで一連の流れとして行うことが出来ます。この治療から予防、治療から強化まで真に一貫した方針であることが、本接骨院最大の特徴となります。この身体運動の学習をどのように行うか、ご紹介したいと思います。トレーニング器機を用い、また当院スタッフが補助させて頂くなどして患者さん御自身に運動して頂きます。痛みなどによって自分で身体を動かすことが出来ない場合(例えば五十肩)は、まずスタッフによる徒手療法で症状・状況を改善し、出来る範囲から無理のない運動処方をしていきます。運動は症状・目的に合わせて簡単なストレッチや体操から競技動作を考慮した本格的なトレーニングまで幅広く行えます。

五十肩に対する身体動作の改善を求める治療・トレーニング例

各段階全てに対応する治療やトレーニングもあります。
しかし段階が上がらないと出来ないものもあります。これらアプローチは実際の状況に応じて採用していきます。

  • 第1段階
    とにかく痛く、腕が挙がらない段階

  • 第2段階
    まだ痛みはあるが、腕が挙がるようになってきた段階

  • 第3段階
    日常動作での痛みはほぼ消失したが、まだ動きが小さく力みやすい段階

  • 第4段階
    負荷をかけても痛みがなくなり、予防・強化していく段階。良い運動プログラムを確実なものにしていく段階

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