院長の独り言

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    17.寒くならない入浴法

    shower

    最近はお風呂場暖房も普及していて寒さ知らずのお風呂が多いかもしれません。入浴時最初の寒さをあまり感じたことのないような方には今回の話は不要なものです。 ただ冬場の入浴で寒さにお困りの方には参考になるかもしれません。
    以前一石二鳥の入浴法のところで、身体の芯を温める”スカリング入浴法”とも言える入浴法をお伝えしました。 今回はもっと単純に、お風呂場を素早く温かくして入浴時に寒くならないような方法・工夫を二つほどご紹介します。 寒い冬場の入浴が少しでも快適になれば幸いです。

    ①バスタブのお湯をカラン(蛇口)からでなく、シャワーから出してバスタブにお湯を溜める。

    こうすると空気中により多くのお湯が触れることになります。またお湯がある程度溜まると水たまりに雨が降る時と同じようにバスタブでお湯が跳ねます。 これらによりお風呂場の空気がお湯で温められ、湿度も非常に高まります。自家製ミストサウナといったところでしょうか。
    これを行えばバスタブにお湯を溜めている途中の段階から、その脇で身体や頭を洗っていてもそんなに寒くありません。 逆にこのミストサウナ状態が長くなるとお風呂場が熱くて我慢できない位になることもあります。(お風呂場のサイズにもよりますが)
    身体を洗っている時に行うと効果を実感し易いと思います。なおシャワーの位置が高い方がより効果的です。 シャワーから出るお湯の温度も高ければ高い程もちろん効果的です。
    しかし湯温が高いと誤って直接身体にかかった時はやけどの危険があります。 また金属など温まりやすい場所にずっとお湯が当たっているとその部位はやけどする程熱くなるので注意が必要です。
    またこのやり方でバスタブにお湯を溜めた場合、カランで溜めた時よりバスタブに溜まったお湯はぬるめになるのが難点です。
    なおこのやり方はシャワーを引っ掛けておく所とバスタブの位置関係がシャワーの届く都合の良い場合には使えます。 しかしお風呂場が大きい等、この位置関係が整っていないと出来ません。

    ②シャワーやかけ湯等を排水口からなるべく遠いところで行う。

    お風呂場が寒い時は、風呂場の床も冷え切っています。排水口から遠いところからお湯が流れると、お湯は冷え切った床を温めながら流れていきます。 しかしこのお湯がすぐに排水口に辿りつくとお風呂場の外の排水管を温めて、お風呂場を温めることはありません。
    なお大抵のお風呂場は、排水口が奥にあり、手前に入口となっています。入口付近はドアを閉めていても空気の出入りがあるので最初は逆に寒いと思います。 しかしそこをほんの少し我慢していると確実にお風呂場全体の温まりの早さを実感して頂けると思います。

    こんな工夫、貧乏臭い!と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに地味な工夫です。また他の工夫をなさっておられる方もいらっしゃることと思います。 そんな訳で気になった方はこの方法をお試し下さい。私は意外にイケてる工夫だと思っています。笑

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    16.日本選手権(ロンドンオリンピック代表選考会)

    nihonsenshuken

    4月第一週のオリンピック選考会にチーム帯同してきました。
    結果は、惜敗でした。

    これまでシドニー、アテネ、北京と3大会連続で代表選手誕生に関わってきました。 (厳密にはシドニーでは落選でした。しかし選考方法の明確な現行選考方法では代表でした。 不可解な選考方法により落選したので、私の中ではあの選手が携わったオリンピアン第一号です。)

    今回もアテネ、北京に引き続き、携わった選手の複数人が代表に入ると確信をもって試合(選考レース)に臨んだ訳ですが・・・。

    選考会初日から関わった選手の多くが好調でした。自己記録更新(ベスト)率も高かったです。春先の、チーム戦でなく個人で戦う難しい大会の割に、非常に好調な滑り出しでした。
    中盤戦もしっかりベストを出す選手が続きました。しかし予選を通過して準決勝でタイムを落とす選手が続き、少々嫌な流れを感じました。
    終盤の6日目、今回一番勝負を賭けていた1500m自由形が始まりました。この種目に昨年の日本ランキング1位と2位の選手がチームからエントリーしていました。 予選は気持ちよく泳いでくれたようで1位と3位で予選通過でした。ただこの日も他の種目では準決勝でタイムを落として決勝進出ならず...。
    1500m自由形決勝の最終日。本命の二人には競技スポーツの残酷さが待ち受けていました。一人はベストを更新したものの、二人とも派遣標準記録に届かずオリンピック代表から落選してしまいました。

    今回の敗因はいろいろあるのかもしれません。
    トレーナーがすることは、積み重ねた練習に比して微々たるものでしかありません。そんなもので勝負の行方が大きく変わるほど、日頃の練習、本人の節制・努力の価値が低いものではありません。
    しかし大会に帯同したトレーナーは、試合前の繊細な、大切な時間をお預かりします。そういった意味で鍵を握る存在ということも出来るでしょう。
    そんなトレーナーの立場から今回の敗因を考えると、選考会独特のプレッシャーを軽減させることが出来なかったことが一番の反省点です。
    レース後選手に感想を聞くと(次回を考えてどんなレース後にもすることです)いくつかコメントしてくれました。 しかし性格の良い二選手なので、トレーナーに対してコンディションの悪さからダメだったと受け取れるような事は決して言いませんでした。
    ただこうした大舞台ではちょっと気になったことが大きく膨れて大きな不安材料になったりします。 逆にプラス材料があるとそれに意識が集中して大きな力を発揮出来ることもあります。緊張する(集中した)場面になればなるほど、コンディション・フィジカル面がメンタル面に影響することもあるのです。
    今回はフィジカル・コンディションの面からメンタル面をカバーすることは出来ませんでした。 また細やかな気遣いで選手をサポートすることも足りなかったと言えるでしょう(こうした気遣いが出来るからこそ良いトレーナーだと言われる方もいらっしゃいます)。

    関わった選手は皆、本当に頑張ってくれました。
    実力も大本命だった2人は世界の舞台で戦えるだけのものを持っているはずです。2人以外にも本領を発揮出来れば代表に入る実力を持った選手が居たと思います。
    しかし4年に1度の大会で、何とも言えない残念な思いをしました。
    これは頑張ってきた選手、ずっと練習を見てきたコーチ方なら尚更です。
    こんな思いを自分がしない為にも、選手・コーチ方にしてもらわない為にも、トレーナーとして足りないものを一つずつ埋められるよう、日々頑張っていきたいと思います!

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    15.一石二鳥の入浴法

    寒い日が続きますね。
    以前は感じなかったのですが、最近はお風呂に入ってもなかなか温まらないのが悩みの一つでした。
    特に温まりにくいのが、お腹・腰~背中まわりの脂肪の厚いところです。他のところは長く湯船に浸かっていればしっかり温まるのですが、この脂肪の厚いところはなかなか温まってくれません。魔法瓶のポットの上から温めているような感じです。
    脂肪組織は外の寒さから身体の中を冷やさないようにしてくれるのですが、そこが冷え切ってしまうと今度は中を温めるまでにとても時間がかかります。
    最近は身体が温まる前に湯温が下がってしまうため、さらに温かいお湯を足さなければならないような状況でした。
    なんとかならないかなぁ、とお腹周りのお湯をスカリングしていたら、んんっ!?
    スカリングで流れてきたお湯がお腹に当たったのがとっても温かかったのです!
    自分の手からハンドパワーが放出されてそうなるのか?しばらく続けると(それでも1分も続けませんが)冷え切っていたお腹が局所的に熱くなるくらいに感じられてきました。
    続けて腰~背中のラインにもスカリングでお湯の流れを当てるとやはり温まりました。
    この日はとても寒い日でしたが、湯上り後もこの温まった感は持続した気がしました。

    温かいお湯の流れが身体に当たって温まるというのは、バブに代表されるような炭酸泉やジャグジーも大枠同じですね。
    温まった感を出すには流れによる水圧の具合や実際の水温と体温の関係などいろいろなものがあるとは思います。スカリングによるお湯の流れの方向性などによっても温まり方が違います。

    ちなみにスカリングとは水泳のテクニックで、力を込めずに手を振る(頭をなでる)ように動かして水の流れ(推進力)を得るものです。サーフィンのパドリングにも有効なテクニックです。
    力んで腕を動かすと良くないのですが、柔らかく、全身リラックスして手を動かせると肩周りの筋肉もほぐれます。
    この入浴法は身体を温めるのと、水泳の技術習得や肩こりの解消にも有効です。一石二鳥、三鳥の入浴法になるかもしれません。
    是非お試し下さい☆

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    14.歩けない!からの・・・

    先日久しぶりに草サッカーをしました。
    チームメイトのほとんどが5歳以上若く、最近はまだ大学生のメンバーも入ってきました。
    一回りどころではない歳の差です。涙

    これまでは技術はなくとも体力だけはある方だったので練習しても身体がガタガタになることはありませんでした。
    しかし最近はスピードもスタミナも、何もかも衰えを隠せなくなってきました。
    先日は2時間ほど頑張って、どこも痛くなることなく無事練習を終えました。
    晩御飯に友達と食事をしました。
    2時間ほど座って食事をし、立ち上がった瞬間右足に体重をかけられなくなりました。
    足首から先が動かず、歩けないのです。
    自転車で家に帰って足首を見ると腫れが。症状的には捻挫のようです。
    ただ足を捻った覚えはありません。原因が通常の捻挫とは違うこともあり、直し方も実験的に通常の捻挫の治療をせず、トレーニングで直そうと思いました。
    その晩は出来る範囲で股関節回りのストレッチ。大きな改善はなかったものの、動かなかった足指、足首が曲がり始めました。
    この日は疲れていたのでこれで終了。アイシングもテーピングも包帯もしなかったです。

    翌朝、裸足だと体重を荷けられないものの、靴を履けば不自然ながら歩けるようになっていました。

    身体の不調を誤魔化して午前の診療を終え、昼休みにほぐしトレーニングを行いました。
    エコノミー・レッグ・プレスを行うと、股関節の曲げ伸ばしに回旋が伴わず、骨盤が逃げていくのがよく分かりました。
    回数を重ねるごとに骨盤の逃げが少なく、股関節本来の動きを取り戻していきました。
    インナーサイでも同様に、股関節の内外転に回旋が伴わなかったのが徐々に動きを取り戻し、連動出来なかった上半身も徐々に動き始めました。
    他の種目でもウチのトレーニングの本質(※)を意識することで身体の問題点が浮き彫りになり、改善されていきました。
    身体と対話しながら1時間少しトレーニングを行いました。
    結果、患部を押すとまだ若干痛みはありますが、腫れも引いて歩行はもちろん日常動作は問題なくなりました。

    今回の捻挫は運動不足の人間が急に激しい運動をし、クールダウンも不足したのが良くなかったのでしょう。
    さらに寒いところで長時間同じ格好をしたため身体がガチガチに固まり、末端部分である足がそのひずみを受けたとのだと考えられます。

    若い頃は体力がある方でも、歳をとるとトレーニングを継続し、身体をメンテナンスしていかないとすぐ怪我するということが身を以て理解されました。
    と同時に、歩けないほどの重症も(病態にもよりますが)しっかりしたトレーニングですぐに良くなることも体験出来ました。

    最近は若くて上手いチームメイトを前に心折れそうになることが増えてきました。
    が、トレーニングの素晴らしさを信じてこれからも頑張っていきたいと思いました。

    ※筋の収縮形態、反射と重心移動、体軸に対する身体各部の動きなどなど

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    13.思いつき

    先日久しぶりに泳いだという話をしました。
    泳いでいるといろんな考えが浮かび、とても楽しい時間となりました。

    よく聞かれるのですが、私の頭は何を考えているのか?
    この日のキーワードは”緊張”でした。
    久しぶりに泳いだためにとにかく疲れるのが早く、すぐ力み、脱力出来なくなってしまいました。
    ここで選手時代にやった脱力系のドリルをしたりもしたのですが、日頃から患者さんに自分が言っていることを思い出しました。
    「息を吐いて下さい」「胸が動くように呼吸して下さい」
    やはり口で呼吸するだけではダメですね。
    肺での換気を意識すると緊張が取れるというのは、泳ぎの中でも確かなようです。

    こんな風に、身体の応答を考え、実践しながら泳いでいました。
    他にも・・・
    ビート板の持ち方と緊張、ストリームラインの歪み。
    ストリームラインの歪みと身体の癖(歪み、普段の身体の使い方、姿勢)。
    身体の癖と筋連鎖。
    姿勢・脂肪と重心(浮心)。
    などなど。

    身体マニアの私の頭には、ふとしたことからこんな事が次々と浮かんできます。
    オヤジの身体に起こることが一流選手に当てはまるとは限りません。
    ただ元の構造は同じ人間なので想像を膨らませると楽しいものです。

    そして明確に、私自身すぐ取り掛かるべききことが分かりました。
    それは食習慣を改め、運動不足を解消し、痩せましょうということでした。
    無理かなぁ…

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    12.久しぶりに泳いでみました

    先日急に泳ぎたくなり、近所のプールで何年か振りに泳いでみました。
    仕事柄プールには行くものの、自分が実際に泳ぐことからは遠く離れてしまっていました。
    泳いでみるとクロールが25mも泳げませんでした。もちろん25m以上続けて泳ぐことは出来ます。 ただそれは私の考えるクロールとは程遠いものでした。

    泳ぐペースも昔練習していたペースではすぐに息が上がってしまいます。練習後に流して いたようなペースでしか泳げませんでした。
    さらに同じ動作を続けると局所が疲れるような気がしました。なので50m泳ぐのでも途 中で種目を変えたり、間でイージーの時にするような身体をブルブルしてリラックスさせ たりをしていました。 しかし一応は元スイマーということで、疲れても立ち止まるよりグダグダでも泳いだ方が 息は整いました。

    構造医学では生理歩行の重要さが言われていて、下手な治療より歩行は身体を良くしま す。
    以前腰痛の酷いスイマーに歩行を勧めたことがあります。それはそれで効果はあったよう ですが、当人にとってはゆっくり長く泳いだ方が腰は楽になるとのことでした。これもス イマーの特異なところでしょうか。
    また散歩するとアイデアが浮かんだりすると言います。
    私も実際歩行中にいろいろ考えが浮かんできます。ただ泳いでいてもアイデアが浮かびま す。
    私の場合は治療法の新たなアプローチ、新たなトレーニング、旧知だが点だった知識が結 びつく等といった具合です。
    先日もアイデアが浮かんで止まらず、とても楽しく泳げました。
    やはり慣れ親しんだ水泳からは離れられないんだなぁと強く自覚した日となりました。

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    11.支援②

    写真は岩手県の被災地にあるスイミングスクールのバスです。コーチが合宿のために選手を乗せてきたバスです。

    スイミングスクールバス
    しかしフロントガラスをよく見ると本来ないはずのものが二つあります。
    一つはフロントガラスの上部中央です。

    避難者・物資輸送車両
    ≪災害支援≫避難者・物資輸送車両とあります。
    もう一つはフロントガラスの左下です。

    通行許可証
    これは警察・消防・自衛隊など限られた車両のみが入ることを許された、制限された被災地域への通行許可証です。
    どうしてスイミングスクールのバスがこのようなものを付けているのでしょう。

    このスイミングスクールは地震で被害者が出なかったものの施設の天井が崩れ、使用出来ない状況が続いています。
    しかし、このスイミングスクールは全国にいくつも系列校があります。
    そのうち他県のいくつかが津波により流されてしまいました。
    そのためこのスイミングのコーチが流された系列校のところに支援物資を何度も運んだのだそうです。 自分のところも被災して大変なのにも関わらず…。
    ちなみに流された施設は、再建しない可能性があるそうです。

    このコーチが支援に行った街の様子を伺いました。
    何よりも臭いそうです。油などの燃えた匂い、がれきの匂い、ヘドロの匂い…一つだけでも臭い匂いがいくつも絡み合って相当臭いそうです。
    粉塵などもすごく、一旦津波で流されたところに行くと洗車しても匂いと汚れがなかなか落ちないんだそうです。
    街の状況でも報道されないようなことがあるとおっしゃっていました。

    被害の大きかった地域は普通の生活に戻るまでまだまだ時間がかかります。
    こうしたことが一日も早く復旧するのと同様に、スポーツ環境も復旧出来ることを心からお祈りしております。

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    10.支援①

    県合宿中、支援物資を持ったOBが駆けつけてくれました。彼はインターハイで表彰台にも上がった岩手の英雄です。 現在20代半ばで実業団で水泳を続けています。

    支援物資は水着やジャージといった水泳グッズでした。彼は男なので女子の水着などはなかったですが、50点以上 のものを持ってきてくれました!当人の所有物だけではないでしょうから、いろいろな人に声をかけて集めてくれたのだと思います。
    普段クールな彼がここまでしてくれたことに正直驚きもありましたが、それ以上にとても嬉しかったです。 本当にありがとうございました。

    この日彼と久しぶりにゆっくり話す時間を持て、いろいろ情報交換出来ました。 彼が後輩に声をかけ、アドバイスしている姿などこれまで想像も出来ず、嬉しかったです。
    最近の岩手の選手でも彼の名前や活躍を知っています。しかし岩手を離れて久しいので顔を知りません。 震災がきっかけになった訳ではないかもしれませんが、こうしたOBが沢山出てきてくれると岩手水泳界 の未来も明るいと思いました

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    9.岩手県合宿

    GWに雫石で行われた県合宿に行って来ました。
    チームによって震災の影響で泳げない期間が違うので、今年は例年と状況が変わっていました。 例年は参加標準記録があり、誰でも参加出来る合宿ではありません。しかし今年は各チーム内で参加調整出来ました。 そんなこともあり選手は頑張っていましたが、例年より強化の色は薄くなったようです。 練習グループも例年の種目・年齢別ではなく、チーム毎でした。
    GWの段階ですでに通常練習を行っているチームが多かったのは救いでした。 しかし未だにプールの復旧工事が行れなかったり、諸般の事情でプール利用の出来ないチームがありました。 そうしたチームは合宿でようやく泳ぐ体を作れたという状況です。 ただGW後はまたしばらく週1~2回プールを借りて練習を行うのがやっと等という状況に戻ってしまうそうです。
    震災でプールがなくなり、チームを移籍して合宿に参加している選手もいました。 その選手の移籍元のチームでは、家も流されたので他県に移籍してしまった全国大会常連の選手もいました。
    プールがなくなったそのクラブは今回の震災を機に解散となってしまいました。 そこで練習していた選手の一部は、片道1時間半くらいかかる隣のクラブに数家族が協力して送迎して通っているそうです。
    この地域では選手を育成するようなクラブが一つも無くなってしまいました。 競泳でインターハイに出るような選手の多くは小学校に上がる前に水泳を始め、遅くとも小学校高学年頃には選手となっています。 アスリートを育てるのは普通の産業を育てる以上に時間も労力もかかります。 それなのにこの地域では水泳選手を育てる土壌が無くなってしまいました。 このまま2~3年過ぎたら、この地域からは県合宿レベルでも参加出来る選手が10年は出なくなってしまうでしょう。 事は重大です。なんとかしたいものです。

    例年の合宿と形態が違うので、雰囲気も違いました。 例年は普段練習していないライバルと一緒に練習するので選手にとって刺激があります。 そのため普段以上のレベルで練習を行うことが出来ます。 しかし今年は他のチームと触れ合う時間がほとんどないためか、練習で盛り上がっているシーンが少なかったように感じました。 全体に練習の手を抜いている風はなく、闘志が内に秘められているような感じでした。
    被災した大変さで暗くなっている感じはなく、純粋に水泳を頑張ろうという選手が多かった感じがしました。 想像以上に雰囲気は明るく、このあたりは安心しました。 被災して移籍した選手も県内では顔見知りだったこともあり、良い意味で可愛がってもらっているように見えました。

    日本代表経験者のメッセージ入りポロシャツは予定通り誰もが見えるプールサイドに掲げられました。 写真は最終日に撮影したもので、見ている人もまばらです。 しかし掲げた当初は選手の輪が何重にもなってずっと見ていたそうです。 メッセージを励みに厳しい練習に励んでもらえたらと思います。

    メッセージ入りポロシャツ

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    8.応援メッセージ

    1.岩手県水泳界の現状

    3月11日、東日本大震災がありました。これによって日本中が大きな被害を受けました。 私が国体トレーナーをしている岩手県の水泳界も大きな被害・影響を受けています。
    岩手では新年度になった段階で水中練習を再開したチームが増えてきました。 最近では通常の練習を再開したチームも出始めたと聞いています。 しかしプールが地震や津波で壊れたり無くなったり、エネルギー事情でプールが使えないところもあります。 これらの事情によって水中練習再開の目途が立っていないチームがまだまだあります。
    また県からの強化費も今年は震災復旧費用がかさむために予定より減額されてしまうそうです。 強化費が減ると合宿日数が減るなど競技力向上の大きな障害となります。
    さらに選手・コーチが練習に集中したくても出来ないような空気があるそうです。 これは目に見えにくい影響ですが、もしかしたら一番深刻なことなのかもしれません。

    今年の競泳インターハイは、地震以前に岩手県で開催することが決まっていました。 震災後の現段階でその決定は変わっていません。 すなわちそれはコンディションが良かろうが悪かろうが岩手県の選手がインターハイに出場するということを意味します。
    元々岩手県は競泳が強い県ではなく、全国大会で勝負出来る(決勝に残る)ような選手が毎年居る訳ではありません。
    しかし近年東北大会の学校対抗で盛岡南高校が何度も優勝しています。 インターハイをはじめとする全国大会出場者数も増えています。 岩手県は少しずつですが確実に力をつけてきていました。
    震災前、今年はインターハイで複数人が決勝進出し、すべての種目で他県の選手に見劣りしないだけの泳ぎが出来るという 手応えを感じていました。だから震災が与えた影響は大きな痛手となりました。
    競技スポーツもレベルの高いところになると、ちょっとしたことでパフォーマンスが大きく下がってしまいます。

    選抜高校野球で東北高校は頑張って素晴らしい試合を見せてくれました。 しかし東北ナンバーワンの超名門校が想像以上の大差で1回戦負けしてしまいました。 これを見ると競泳のインターハイで岩手県勢が苦戦してしまうのも想像に難くありません。

    2.選考会で感じた競技スポーツの雰囲気

    4月9~11日に浜松で開催された2011年度競泳国際大会派遣選考会(選考会)で鹿屋体育大学に帯同してきました。 ただ今回は震災のこともあるのであえて岩手県のユニホームで大会に臨ませて頂きました。
    すると「地震、大丈夫でしたか?」「被害はなかったですか?」と声をかけて下さった方がたくさんいらっしゃいました。 有り難い限りです。その度に知っている範囲の事情をお話しました。私自身現在東京23区在住在勤で停電の影響も なく、気恥ずかしい感じもしましたが…

    この大会は東日本大震災のチャリティー大会となっていました。ただ、選手にとっては非常にプレッシャーのかかる日本 代表選手選考の大会でした。そのためチャリティー大会と言いながら震災のことなど感じさせない競技スポーツ・大舞台 特有の厳しい、重苦しい雰囲気が選手を包んでいました。
    この大会に出る選手が持ち合わせるような競技に対して真剣に、集中して、真摯に取り組む雰囲気が、今の岩手では考え られないと岩手のコーチが言っていました。 日常生活がままならない状況で、生活を犠牲にしてまで水泳を頑張るというのは、被災地の常識から外れてしまうのは 当然なことかもしれません。

    ただそんな岩手県でこの夏、ガチンコの競技スポーツであるインターハイが行われます。 全国の選手はこの試合に全てをかける勢いで臨みます。 岩手の選手・コーチ達がこのままの状況でインターハイを迎えたら、どうなるでしょうか。 被災者を元気づけるために岩手県開催をする意味があるのかもしれません。 しかし地元の選手が活躍しないで大会会場、岩手県、更には日本が盛り上がるでしょうか。 地元の選手がちょっととでも善戦し、あわよくば優勝するようなレースが出来た方が被災された人達を勇気づけるのではないでしょうか。 現状を身に染みて分かっていない、被災者ではない人間の言う独りよがりかもしれませんが。

    選考会が行われたのは浜松、古橋広之進記念プールでした。 古橋さんは言わずと知れた、戦後日本を水泳で盛り上げ、勇気と希望を与えてくれた水泳界が誇る国民的英雄です。 今回の選考会がこの古橋広之進記念プールで行われたのは何かの縁でしょうか。
    インターハイで岩手の選手が活躍し、岩手が元気だとアピール出来る大会となることを心から祈っていますし、全力で そのサポートさせて頂きます。

    3.メッセージ

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    選考会では日本代表経験者で面識のある現役スイマーにお願いして、岩手県のスイマーに向けてメッセージを頂きました。 写真がそれで、岩手県国体水泳チームの白色のポロシャツに書いて頂きました。
    23名の日本代表経験者が時間をかけ、言葉を選んで、岩手のスイマーのことを考えてメッセージを書いてくれました。 写真はクリックで拡大して見えます。見にくいかもしれませんが一人一人のメッセージを見てみて下さい。 非常に心がこもっていて、素晴らしいメッセージばかりです。
    岩手県のスイマーにトップスイマーの心意気が届くことを願っています。
    そして被災した現状を踏まえた上で、インターハイで結果を出す気持ちを持ってくれたら嬉しい限りです。 選手自身がもう一度アスリート本能を取り戻してくれたらと思います。

    非常に重要でプレッシャーのかかる大会期間中、快くメッセージを書いてくれた選手の皆さんにこの場を借りて厚く御礼申し上げます。 なおこのポロシャツは、県合宿やインターハイでの控え場所などインターハイで戦う岩手県スイマーの見えるところに掲げる予定です。

    4.追加情報

    岩手県ではインターハイを開催するプールが無事でした(エネルギー事情で当面使用出来ませんが)。
    しかし宮城県水泳界の震災による被害は一番酷いそうです。 核となるプールは被災して使用できない状況です。 今年度水泳強化事業も大会開催も見通しが立たず、中止か未定ばかりだそうです。
    宮城県では内陸部のみならず沿岸部にも強いスイミングクラブがありました。しかし津波に流されたため撤退が決まったクラブがいくつかあると聞きました。

    私は岩手のトレーナーなので岩手のことを中心に書きましたが、他の被災地も大変な状況であることを気に留めておいて 頂けると幸いです。

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